司法書士報酬以外の「費用」のこと

もっとくわしく、知る相続登記における司法書士報酬以外の費用のこと

相続登記では、司法書士報酬以外に、①登録免許税、②実費、③郵送等手数料が必要です。

登録免許税【必須】

分類項目金額補足説明

登録免許税固定資産評価額
× 0.4%
登記申請時に負担する国税です。最新年度の固定資産評価額に0.4%を乗じた額を、その他登記費用と一緒にお預かりして、司法書士が納付します。

登録免許税とは、登記申請をする場合に、国に納付する国税です。登録免許税額は、申請する登記の種類によって計算方法が異なっており、相続登記の場合には、以下のように計算します。

登録免許税(相続登記)=固定資産評価額×0.4%

ここでいう「固定資産評価額」とは、市町村役場が管理している固定資産課税台帳の価格のことをいいます。この価格は、「固定資産税納税通知(課税明細)」または「固定資産評価証明書」で確認することができます。

資料の名前取得先費用
固定資産税納税通知(課税明細)
毎年4~6月頃、
役場から封筒で届く
無料
固定資産評価証明書
市町村役場
税務課資産税係
300円~
(市町村ごと異なる)

たとえば…

【例1】評価額の合計が400万円の場合

4,000,000(評価額)×0.4%(税率)16,000(登録免許税額)

【例2】評価額の合計が3500万円の場合

35,000,000(評価額)×0.4%(税率)140,000(登録免許税額)

となります。相続する不動産の資産価値が高い方は、登録免許税額も多くなるわけですね。ちなみに、登録免許税額が高額となる場合でも、司法書士報酬は変わりませんのでご安心くださいませ。

この登録免許税額は、通常、その他費用と一緒にお見積書(お見積金額)の中に含んで計算します。ご依頼の際には、登録免許税を含むお見積総額をお預かりして、登記申請時に、司法書士がお預かり金の中から登録免許税を納付しています。

相続登記の場合、登録免許税が免税できる場合があります。

次のいずれかの条件にあてはまる場合、その土地の相続にかかる登録免許税を免税(非課税)できます。

 1.評価額が100万円以下の土地の場合

 (租税特別措置法第84条の2の3第2項)

 2.すでに死亡した相続人の名義に変更する場合

 (租税特別措置法第84条の2の3第1項)

なお、この特例は、令和7年3月31日までの適用期限があります。ご注意ください。

実費【必須/任意】

分類項目金額補足説明
実費必須登記情報(オンライン)332円
× 対象不動産の数
対象不動産の最新の登記内容を確認するため、司法書士が全ての不動産の登記情報を取得します。オンラインでの請求のため、郵送等手数料は不要です。
希望する場合戸籍の取得を希望する場合
+ 戸籍等取得にかかる実費
200円~750円
(役場規定による)
相続登記に必要となる戸籍等の取得を司法書士に依頼する場合、役場所定の交付手数料(200円~750円/通)が加算となります。また、郵送等手数料(請求・支払)も必要となります。
証明書の取得を希望する場合
+ 証明書取得にかかる実費
300円~
(役場規定による)
名寄帳や固定資産評価証明書など不動産に関する証明書の取得を司法書士に依頼する場合、役場所定の交付手数料(300円~/通)が加算となります。また、郵送等手数料(請求・支払)も必要となります。
公図の取得を希望する場合
+ 公図情報(オンライン)
362円
× 対象不動産の数
対象不動産の位置関係を確認するための法務局備付の地図(公図)情報の取得を司法書士に依頼する場合、管理機関所定の交付手数料(362円/通)が加算となります。オンラインでの請求のため、郵送等手数料は不要です。
登記簿の取得を希望する場合
+ 登記簿取得にかかる実費
480円
× 対象不動産の数
相続登記完了後に、新所有者名義の登記簿謄本の取得を司法書士に依頼する場合、法務局所定の交付手数料(480円/通)が加算となります。法務局への請求・支払はオンラインで処理できるため、郵送等手数料は不要です。

登記情報(オンライン)【必須】

登記情報は、登記簿謄本と同じ内容がオンライン(PDF)で確認できるサービスです。登記情報には、登記簿謄本にある「登記官による印」はありませんが、その分、交付にかかる実費が1通あたり332円と安価であることが特徴です。

登記情報(PDF)

相続登記書類の作成にあたり、最新の登記簿の内容の確認は必要不可欠ですので、当事務所では、ご依頼をいただく全てのみなさまに、登記情報の取得にかかる実費のご負担をお願いしております。

なお、オンラインでの請求となりますので、登記情報の取得には別途郵送等手数料は不要です。

戸籍等の取得にかかる実費【任意】

戸籍謄本とは、故人の相続関係を証明するために、本籍のある役場で取得できる身分事項証明書のことです。この戸籍等の取得を司法書士に依頼される場合には、役場に支払う実費(200円~750円/通)のご負担をお願いしております。また、役場への請求の際に、郵送等での対応が必要となりますので、実費とは別に郵送等手数料が必要となります。

戸籍謄本(全部事項証明書)

相続登記では、次の範囲の戸籍謄本をすべて収集する必要があります。

必要な戸籍の範囲(相続登記)
  • 故人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本
  • 故人の最後の住所が確認できる住民票(または戸籍の附票)
  • 相続人の現在戸籍抄本

なお、戸籍は「婚姻」「養子縁組」「転籍(本籍が別の役場に移ること)」「改製(戸籍の様式が変わること)」等により、新しく作り替えられるため、故人の一連の戸籍謄本は、縦書き(手書き時代)の除籍・原戸籍謄本も含まれます。

除籍・原戸籍謄本

証明書の取得にかかる実費【任意】

戸籍は相続関係を確認するために必要な証明書でしたが、不動産関係を確認するためには、別の証明書(名寄帳、固定資産評価証明書など)が必要になります。この名寄帳等の取得を司法書士に依頼される場合には、役場に支払う実費(300円~/通)のご負担をお願いしております。また、役場への請求の際に、郵送等での対応が必要となりますので、実費とは別に郵送等手数料が必要となります。

名寄帳

公図情報(オンライン)【任意】

公図情報は、法務局備え付けの地図(公図)と同じ内容がオンライン(PDF)で確認できるサービスです。公図情報には、公図にある「登記官による印」はありませんが、その分、交付にかかる実費が1通あたり362円と安価であることが特徴です。所在のわからない土地がある場合には、公図を参考に確認することができます。なお、オンラインでの請求となりますので、公図情報の取得には別途郵送等手数料は不要です。

公図情報PDF

登記簿謄本(全部事項証明書)【任意】

登記簿謄本(全部事項証明書)は、法務局で取得することができる、不動産の登記記録の記載された証明書です。相続登記が完了した後に、その内容を登記官印のある登記簿謄本という形で残しておきたい場合にかかる実費です。法務局への実費の支払いはペイジー(インターネット)を利用できるため、別途郵送等手数料は不要です。

登記簿謄本(全部事項証明書)

郵送等手数料【必須/任意】

分類項目金額補足説明
郵送等手数料必須登記添付書類の提出手数料1,040円
× 管轄法務局の数
相続登記申請時に、管轄法務局宛に提出する書類の郵送等手数料です。手数料は、往復郵便(署名型)相当額で計算しています。
登記完了書類の納品手数料520円
× 納品先の数
相続登記完了後、登記識別情報通知(権利証)を含む書類一式をご自宅宛に納品する際の郵送等手数料です。手数料は、片道郵便(署名型)相当額で計算しています。
希望する場合各相続人宛に文書を送付する場合
登記用書類の送付手数料
890円
× 送付先の数
相続関係書類(遺産分割協議書)を各相続人宛に送付することを司法書士に依頼する場合、送付先ごと郵送等手数料が加算となります。手数料は、往復郵便(復路のみ署名型)相当額で計算しています。
戸籍等の代理取得を希望する場合
+ 役場への請求手数料
740円
× 請求先の数
戸籍・証明書等の取得を司法書士に依頼する場合、請求先ごと郵送等手数料(請求分)が加算となります。手数料は、往復郵便相当額で計算しています。
戸籍等の代理取得を希望する場合
+ 役場への支払手数料
200円
× 取得通数
戸籍・証明書等の取得を司法書士に依頼する場合、取得した証明書1通ごと郵送等手数料(支払分)が加算となります。手数料は、郵便小為替発行手数料相当額で計算しています。

実費と郵送等手数料の違いは、次のとおりです。

実費郵送等手数料
費用の支払先役場等の
手続先機関
当事務所
領収書等の有無ありなし
(請求書の内訳に含む)

郵送等手数料とは、業務を行う上で、実費に相当する費用が発生しているものの、その費用に対しての領収書等がないものをいいます。

たとえば、当事務所では役場宛に証明書を請求する際、効率性・迅速性の観点から、役場までの郵送費(または交通費)は、請求の都度、郵便局で切手等を購入(または車移動ならガソリンを給油)するのではなく、事務所の在庫品の切手等を使用することにしています。この、事務所の在庫品を使用する場合の実費相当額のことを「郵送等手数料」と呼び、個別に手続機関に支払う実費と区別して、登記費用を計算するようにしています。

他の事務所では、類似の費目として数千円の「郵送交通費」を計上していることが多いのですが、当事務所では、かかる費用の透明性・公平性を重視して1請求ごとに計算する「郵送等手数料」を採用しています。複雑でわかりにくくはなってしまいますが、ご理解いただけますと幸いです。

登記添付書類の提出手数料【必須】

登記申請時に、戸籍・遺産分割協議書等の添付書類を法務局宛に提出する際の郵送等手数料です。往路復路ともに重要な書類を郵送するため、手数料は、往復ともに郵便(署名型)相当額:520円で計算しています。

なお、別の登記管轄にも不動産をお持ちの方は、提出する法務局ごとに郵送等手数料がかかります。

郵便(署名型)の基準は「レターパックプラス」

郵送等手数料の計算において、郵便(署名型)を基準にする場合は、レターパックプラス(520円)を参考に計算しています。レターパックプラスの主な特徴は、受取人に直接手渡しする方法で配達され、また受取時には署名が必要となる点です。当事務所では、替えがきかない書類(たとえば、署名済みの遺産分割協議書や登記済権利証など)を郵送する場合に利用しています。

郵便局ホームページより転載

登記完了書類の納品手数料【必須】

登記完了後に、登記識別情報通知や相続関係書類一式をご自宅宛に納品する際の郵送等手数料です。こちらも重要な書類を郵送するため、手数料は、郵便(署名型)相当額520で計算しています。

なお、複数の方が所有者となるなど、完了後の書類の納品先が異なる場合には、納品先ごとに郵送等手数料がかかります。

登記用書類の送付手数料【任意】

相続登記に必要となる書類(遺産分割協議書等)を各相続人宛に送付することを司法書士に依頼する場合、送付先ごとに郵送等手数料が加算となります。

往路(司法書士→相続人)については、通常の郵便相当額:370円で計算しますが、復路(相続人→司法書士)については、署名済の重要書類が同封されることから、郵便(署名型)相当額:520円で計算しています。

署名型以外の郵便の基準は「レターパックライト」

郵送等手数料の計算において、署名型以外の郵便(通常郵便)を基準にする場合は、レターパックライト(370円)を参考に計算しています。レターパックライトは、対面配達のレターパックプラスと異なり、郵便受けへの配達となります。

郵便局ホームページより転載

役場への請求手数料【任意】

戸籍・名寄帳等の証明書の取得を司法書士に依頼する場合、請求する役場ごとに郵送等手数料(請求分)が加算となります。手数料は、往復ともに通常の郵便相当額:370円で計算しています。

役場への支払手数料【任意】

市町村役場宛に郵送請求により証明書等の請求をする場合、その代金の支払いには、定額小為替証書を同封する方法が指定されています。そのため、司法書士が、戸籍・名寄帳等の証明書の取得をする場合には、上の「役場への請求手数料」に加えて、取得する証明書1通ごとに郵送等手数料(支払分)が加算となります。

手数料は、1通につき定額小為替証書手数料相当額:200円で計算しています。

市町村役場での支払手数料の基準は「定額小為替証書」

郵送等手数料の計算において、市町村役場で代金支払いをする場合の費用は、定額小為替証書交付手数料(1枚につき200円)を参考に計算しています。

ゆうちょ銀行ホームページより転載