相続登記の義務化。3年以内に登記しない場合は10万円以下の過料の対象に。

長年、相続手続きが放置されたこと等が原因で、現在の所有者がわからない土地(所有者不明土地)が社会問題となっています。これを受けて政府は、所有者不明土地問題を解消するため、相続登記の義務化を含む改正法案を閣議決定し、今国会での法案成立を目指しています。

そこで本記事では、今後、相続登記の義務化法案が成立した場合に、どのような影響があるかを中心に説明します。


いつから相続登記の義務化がはじまるの?

今国会で法案が成立・公布された場合、3年以内(令和6年まで)には、相続登記の義務化が施行される見込みです。

もっとくわしく

令和3年3月5日に国会に提出された民法等の一部を改正する法律案(附則第1条第2項)によりますと、相続登記の義務化(改正不動産登記法第76条の2)の施行期日については、「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。本法案は、今国会で成立・公布される見込みが高いとされていますので、令和6年までには、相続登記の義務化がはじまることが予想されます。


相続登記の義務化って、いつまでになにをしなければいけないの?

不動産の所有者(登記名義人)の死亡の日から3年以内に相続の登記の申請をする必要があります。

もっとくわしく

民法等の一部を改正する法律案では、相続登記の義務化について、次のように規定しています。

所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により所有権を取得した者も、同様とする。

改正不動産登記法第76条の2第1項

相続登記の申請期限について、正確には「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内」とされています。単に「死亡(相続開始)日」とされていないのは、たとえば、故人と疎遠だった親族が、故人の死後しばらく経ってから、死亡の事実を知った場合などを想定しているためです。このような特別の事情がある場合にまで、死亡日を基準に3年の期間制限をするのは酷との配慮から、法律案では、自己のために相続の開始があったことを知った日(≒死亡の事実を知った日)等を起算日として定めています。


期限内に相続登記をしなかった場合の罰則はあるの?

理由なく期限内に相続登記をしなかった場合には、10万円以下の過料が科すと定められています。

もっとくわしく

民法等の一部を改正する法律案では、相続登記を怠ったことによる過料について、次のように規定しています。

第76条の2第1項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

改正不動産登記法第164条第1項【一部抜粋】

過料(かりょう)は行政罰なので、これに違反した場合でも刑罰が科せられるわけではありません。また、3年を経過した後ただちに過料の処分がなされるかといった点についても、現行の他の規定による過料の制裁状況等を考えると、どこまで徹底されるかは疑問が残ります。(具体的な運用については、今後省令や通達によって定められる予定です。)ただ、法律による罰則規定がある以上は、過料の対象となりうることは事実ですし、理由なく相続登記を先延ばしにするメリットもありません(むしろデメリットしかない)ので、現実の過料制裁の実施状況にかかわらず、すみやかに相続登記を済ましておくことをおすすめします。


施行前から相続登記していなかった土地建物も罰則の対象となるの?

すでに相続登記未了となっている不動産も、今回の改正により相続登記の申請の義務化が課される予定です。

もっとくわしく

これまでの法制審議会での議論の中でも、施行前の相続登記未了不動産も義務化の対象とする方向で進められていたことから、施行前・施行後を問わず、相続登記の申請の義務が課される予定です。現状すでに相続後3年を経過した未了土地も多く存在し、また、中には正当な理由があって相続登記できていない場合もあることから、相続人の負担が重くならないように、経過措置等を設けることとされています。


相続登記の義務化に伴い、登記手続きが簡略化されると聞きました。どう変わるのでしょうか。

1人で手続きできる「相続人申告登記(仮称)の申出」が新たに設けられることになりました。

もっとくわしく

従来の相続登記とは別に、「相続人申告登記(仮称)の申出」が新設されることになりました。これは、事情があって、相続登記をできない場合などに、相続人が登記官に対して、所有権の登記名義人に相続が開始したこと及び申出人自らがその戸籍上の相続人であることを申し出ることで、その申出人について、相続登記の申請義務が免除される制度です。この申出をすることにより、相続登記がなされないまま3年が経過しても、その申出人については、過料の制裁の対象となることはありません。とはいえ、申出人が登記名義人となるわけではないので、その後、すみやかに相続人全員による相続登記を行う必要があることは、従来と変わりません。

もくじに戻る


相続登記の義務化がはじまるその前に、相続登記をすませておきましょう

今後はじまる大相続時代に向けて、国民のみなさまがもっと便利に司法書士を活用できるよう、日本司法書士会連合会では「相続登記相談センター」を開設しました。

全国共通のフリーダイヤル(0120-13-7832)に電話すると、お近くの相続登記相談センター(司法書士相談窓口)につながります。

また、当事務所でも、山梨県内にお住まいの方を中心に、初回相談無料で対応していますので、お気軽にご相談ください。相談のご予約は、専用ウェブフォームから受付中です。ぜひご活用ください。